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ハイサイ!!
中小企業の健康と雇用をサポートしている産業看護職&健康経営エキスパートアドバイザー「碧(あおい)M企画」の渡嘉敷です。
本日のブログは、介護事業所や障害福祉事業を経営または管理している方へ向けた内容です。
8月ごろから特定処遇改善加算のコンサルが増えて来ました。
特に障害福祉事業所からの依頼が増えたように感じます。
主な相談内容は以下の通り。
・特定処遇改善加算の要件と加算区分1と2の違い。
・職場環境改善の見える化要件にとは?
・対象職員の配分とは?
・配分要件に「月額8万円の賃金増又は年収440万円」とあるが小規模事業所では困難。
・見込額の算出方法は?
特定処遇改善加算を取得したい経営者の主な理由
・職員の賃金を改善して職員の雇用を増やしたい。
・ベテラン職員の賃金を改善して労に報いたい。
・キャリアパスに沿った賃金改善を行いたい。
・賞与の原資または賞与の増額に活用したい。
・小規模事業所では、経営的に自社独自の賃金改善には限界がある。
今回は上記の相談内容に関することや加算届出に必要な取り組みや主な要件について解説します。
すでにご存じと思いますが、令和4年10月より「ベースアップ支援加算」が新たに加わり、処遇改善加算は、3つに分類されます。それぞれの加算の目的や要件等には違いがあります。
特定処遇改善加算の場合は、自社で構築したキャリアパスに関する取り組みが問われます。
つまり、職員の職責・役割などを階層別に区分していることが必要です。
【3つの処遇改善加算のイメージ】
以上を踏まえ特定処遇改善加算について詳しく解説します。
1.特定処遇改善加算要件
特定処遇改善加算の要件は以下の4つです。
① 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲに係る届出を行っていること。
② 職場環境等要件について、「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」、「生産性向上のための業務改善の取組」、「やりがい・働きがいの醸成」の区分で、それぞれ1つ以上取り組んでいること(令和3年度は、3つの区分から1つ以上の取組)。
③ 職場環境要件の見える化要件に取り組んでいること。
④ 体制強化加算(専門職の配置加算)を取得していること。(加算区分1の場合のみ)
【見える化要件とは】
介護職員/福祉・介護職員等特定処遇改善加算を取得するためには、上記算定要件の職場環境等で事業所が取り組む具体的な内容についてについて「見える化」 していることです。方法としては自社HPでの掲載や厚生労働省が運営する情報公開システムでの掲載、事業素内での掲示などがあります。
【特定処遇改善加算の区分】
特定加算の区分は「特定加算1 」又は「特定加算 2 」のいずれかで 、要件(1)~(4)を満たすことで加算の区分が変わります。表の(1)介護福祉の配置要件とは体制強化加算(専門職の配置等)や特定事業所加算を意味します。この加算を所得していない場合は、区分2になります。
※障害者福祉事業(放課後デイなど)の配置要件では、福祉専門職員等配置加算がこれにあたります。
2.対象職員のグループ分け
特定処遇改善加算では、事業所の職員を次の3つに区分して、処遇改善加算の加算金の配分方法や割合について事業所で定める必要があります。
Aグループ:経験・技能の高い介護職員
Bグループ:その他の介護職員
Cグループ:その他の職員
【事業所での職員区分に関する具体的な方法】
事業所でキャリアパスを構築している場合では、一般的に4等級(管理職)か3等級(監督職)以上を定義することよいでしょう。(事業所の職員を職責・役割で1~4等級に区分して設定している場合)
具体的な定義として、経験・技能の高い職員は3等級以上の職員とする。3等級以上は豊富な経験・技能に基づき下位等級の指導や教育、利用者の相談対応など事業所の管理・監督を担っている職員。その他の職員は、上位等級者の指導・教育に基づき業務を担う1等級から2等級までの職員。
このように事業所内で定義します。
定義した内容は、特定処遇改善加算計画書の別紙様式2-1「経験・技能のある介護職員の考え方」へ記入します。
3.支給対象の決定
特定処遇改善加算の加算金を原資に処遇改善する場合、どのグループの職員へ支給するするのか事業所内で決定します。この場合、上記で説明した職員の区分を基に支給対象を決めます。決定には配分要件もありますので注意しましょう。
Aグループ:経験・技能の高い介護職員
Bグループ:その他の介護職員
Cグループ:その他の職員
【具体的な支給方法】
① 上記のAのみ支給。
② 上記AとBへ支給。
③ 上記AからCまで支給。
【配分要件】
職員への加算金の支給配分は、以下の配分要件に従って設定します。
経験・技能のある介護職員を定義した上で、全ての職員を「A:経験・技能のある介護職員」、「B:その他の介護職員」、「C:その他の職員」の3つのグループに分けます。
① Aのうち1人以上は、月額8万円の賃金増又は年収440万円までの賃金増が必要。
※既に年収440万円の人がいる場合は新たに設定する必要はない。
※小規模な事業所等は、この条件を満たさなくてもよい。
② グループ(A、B、C)の平均改善額について、AはBより高いこと、CはBの2分の1以下。
※令和3年の介護報酬改定で以下のように分配ルールが変更になりました。
【令和3年度の報酬改定で配分要件が変更】
4.特定処遇改善加算金の支給方法
特定処遇改善加算では、一般的に月々に支給する手当、賞与、その他(一時金など)の何れかの支給方法を選択します。
特定処遇改善加算の見込額を算出し事業所内で検討しましょう。
5.特定処遇改善加算の見込額算出
特定処遇改善加算の見込額算出は以下の通りです。
事業所の前年度(1月から12月)の介護報酬額を基に算出して下さい。
※各サービスの特定加算の加算率は添付資料を参照して下さい。
6.特定処遇改善加算の届出に必要な書類
①【入力用】計画書(別紙様式2-1、2-2、2-3)(エクセル形式)
② 介護給付費算定・障害福祉算定に係る体制等に関する届出書・体制等一覧表(エクセル形式)
③ 総合事業費算定に係る届出書・体制等一覧表(エクセル形式)
※介護事業所の場合、総合事業を経営している場合は③が必要です。それ以外は必要ありません。
※提出資料は各都道府県の庁舎HPより資料(エクセル形式)をDLして、作成して下さい。
※行政の担当官より添付資料を求められる場合は、以下を参照して下さい。
7.事業所で整える資料
① 加算相当額を適切に配分するための賃金改善ルールを定めた資料。
・就業規則や賃金規程など。
② 処遇改善加算等として給付される額は、職員の賃金改善のために全額支出することが原則です。それの根拠となる資料。
・給与明細書など
③ 労働保険の給付が適切に行われていることを示す資料。
・労働保険関係成立届、確定保険料申告書など
④ 本計画書の内容を雇用する全ての職員に対して周知したことを示す資料。
・職員への周知文や会議録など。
※行政の担当官から届出の際に上記の資料の提出を求められる場合があります。事前に整えて置きましょう。