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ハイサイ!!
中小企業の健康と雇用をサポートしている産業看護職&健康経営エキスパートアドバイザー「碧(あおい)M企画」の渡嘉敷です。
さて、健康経営優良企業認定の申請が開始されました。
前回のブログでも紹介しましたが、全国の中小企業の参加も年々増加傾向にあり
健康経営認定制度にエントリーしている法人数は、約 1 万 5 千社に拡大しました。
出典:経済産業省 ヘルスケア産業課
健康・医療新産業協議会第6回健康投資WG資料より
本日のブログは、「健康経営について検討している」または「健康経営に取り組む予定」の企業経営者や総務担当者へ向けた情報になります。
健康経営に取り組んでいる経営者であれば、アブゼンティーズムとプレゼンティーズムという言葉をよく耳にすると思いますが、この非財務指標を会社の経営に活かしている会社は少ないと思います。
今日のブログでは、これを解りやすく解説いたします。
企業経営者へのご質問
企業経営者の疑問:非財務指標は企業経営に必要なの?
生産性損失コストとは
従業員の欠勤・休業による損失やモチベーション低下による損失を算出したコストです。
疾病出勤とは
従業員の疲労が蓄積し、出勤はしていても集中力やモチベーションが低下しているためミスを連発したり作業効率が悪化した状態です。
アブゼンティーズムとプレゼンティーズムは、これらの生産性損失コストを指標化して企業の生産性を高める非財務指標の一つです。
非財務指標について
不安定な心理状態で無理に仕事をし続けると、ストレスや疲労がたまり、心身への負担が大きくなっていきます。
通院や入院が発生すれば、企業の医療費や保険費の負担額は増え、また従業員が退職してしまうリスクも高まります。そうすると人材育成にかけたコストや、採用に関わるコストなど大きな損失にもつながります。
また、厚生労働省保健局が調査発表している「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」では、プレゼンティーズムのコストが77.9%という結果が出ています。
その結果、企業が負う損失コストは年間で一人当たり約56万円というデータもあります。
このグラフでも理解できるように、日々の生産性の損失であるプレゼンティーズムが、医療費などを含むアブセンティーズムよりもコストの割合を大きく占めているのです。
これからの企業経営は、社員の健康を無視しては成り立ちません。実際、プレゼンティーイズムは企業における経済損失として算出されています。社員の健康関連コストとした試算では、医療費の4倍以上になります。それだけの生産性の低下をもたらしているということです。
簡単に言うと・・・・・・
従業員の欠勤や休業による会社の損失コストより、疾病出勤(プレゼンティーズム)による損失コストが大半を占めています。
しかし、多くの企業では、経営戦略に「非財務指標」を取り上げることがなく経営者は手の打ちようがありませんでした。
その結果、会社の生産性が低下して経営悪化につながります。
アブゼンティーズムは氷山の一角
アブゼンティーズムは、欠勤や休業した日数で容易に算出することができます。
アブゼンティーズムによる生産性損失コスト=欠勤・休業日数×賃金
しかし、プレゼンティーズムは見た目では把握できない指標なので、水面下にある損失コストになります。
従業員のやる気(心理的パフォーマンス)を
算出するには・・・・・
プレゼンティーズムの算出方法
経済産業省が公表している「健康投資管理会計ガイドライン」では、プレゼンティーズムの代表的な測定方法として5つの方法が推奨されています。
いずれの測定方法も研究に基づいたものですが、生産性向上や従業員パフォーマンスの把握、健康経営推進の観点からは「東大一項目版」が最も適しています。東大一項目版の特長は”測定頻度”と”質問数”です。ですから従業員が理解しやすく回答に困ることはありません。
東大一項目版の設問とプレゼンティーズムの算出
【設問】
病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を評価して
ください。
従業員の回答 〇%(1~100%)
【算出方法】
プレゼンティーイズム損失の割合=100% - 回答値
労働生産性損失コスト(円)= プレゼンティーズム損失の割合(%)× 賃金(円)
このように健康経営では、非財務指標であるアブゼンティーズム・プレゼンティーズムを数値化(貨幣化)して改善する取り組みが重要になります。
プレゼンティズム・アブセンティズムともに対処すべき大きな問題ではありますが、特に労働生産性を低下させるプレゼンティーズムへの対策を早急に取り組むべき課題のひとつであると言えます。
年度末に企業の生産性が低下している結果が出た場合、一度は非財務指標であるアブゼンティーズムとプレゼンティーズムを計測して生産性損失コストをチェックしてみては如何でしょうか?
また、2023年健康経営優良法人認定制度にエントリーする企業であれば、この非財務指標をKPI(重要業績評価指標)に掲げPDCAサイクルで改善する取り組みが評価されますので、参考にして下さい。