最近では介護・障害福祉事業所を経営する顧問先からBCP策定のご質問や策定依頼が増えて来ました。
今回は、介護・障害福祉事業所が実施する「BCP策定」について、解りやすくブログでまとめたいと思います。
現在、事業所においてBCP策定を検討している経営者または管理者の方は、是非、参考にして下さい。
【社会背景と経緯】
介護サービスや障害福祉サービスは、利用者や家族等の生活に欠かせないものであり、災害が発生した場合であっても、 利用者に対して必要なサービスが安定的・継続的に提供されることが重要です。
必要なサービスを継続的に提供するため、また、仮に一時中断した場合であっても早期の業務再開を図るためには、 業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定が重要であることから、その策定を支援するため、厚生労働省において、介護サービスや障害福祉サービス等事業所における業務継続ガイドライン等が示されています。
【BCPとは】
BCPとは災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画(Business Continuity Planning)のことです。このBCPの目的は自然災害やテロ、システム障害など危機的な状況に遭遇した時に損害を最小限に抑え、重要な業務を継続し早期復旧を図ることにあります。特に日本では2011年の東日本大震災をきっかけにその重要性がますます注目されています。
【経過措置】
この業務継続計画は、令和3年度報酬改定に伴う運営基準の改正により、運営基準において業務継続に向けた計画等の策定や研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等が義務付けられています。
政府は全サービスの事業所に義務付け、3年の経過期間を置いて2024年度から完全適用する決断を下しました。
なお、3年間の経過措置(準備期間)が設けられているところですが、現在の新型コロナウイルス感染症の状況や、台風上陸または近年増加しているゲリラ豪雨等に伴う風水害の発生リスク等への備えとして、可能な限り早期に取組みを実施するよう促しています。
【BCP策定のポイント】
厚生労働省のガイドラインでは、以下の項目についてBCP策定を実施するよう説明しています。
1.新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続
新型コロナ感染によるBCP策定は、事業所内で感染者が確認された場合、通常通りに業務を実施することが困難になります。まず、業務を中断させないように準備するとともに、中断した場合でも優先業務を実施するため、あらかじめ検討した方策を計画書としてまとめておくことが重要です。
2.自然災害発生時の業務継続
自然災害によるBPC策定は、事業所の地域の地形などの特性を事前に把握することが大切です。事業所の近くに海や河川、丘陵地などがある場合、地震による津波や大雨による河川の氾濫、土砂崩れなどが予測されます。地域の自治体が提供しているハザードマップを把握して、被害予想図や想定図を参考に避難場所や自治体への連絡先を予め確認しながら方策を計画書としてまとめておくことが重要です。
【まとめ】
BCP策定では、最初から完璧な計画を目指さないことも大事です。不意に起こるのが災害というもの。最初からあらゆる事態を想定して、起こりうる全てのリスクを網羅した完璧な計画を立てることは、ほぼ不可能です。完璧を目指すあまりBCPの完成が遅れ、肝心の災害時に準備が間に合わず使えないようでは意味がありません。
実際にBCPを策定する場合の具体的なプロセスは以下の通りです。
BCPを初めて策定するときは、段階を踏んで順に進めていく形を取ります。
【BIAとは】
BIAとは災害による被害について分析する「ビジネスインパクト分析」のことです。
BCPを策定するには業務を詳しく分析することが極めて重要です。そのためには災害時に最優先して守るべき業務が何かを正しく選定し、優先順位をつける必要があります。
BIAはその優先順位を決める基準や具体的な指針となります。業務やシステムが停止した場合に事業に与える影響度を評価するために行うもので、具体的で実用性のあるBCPを策定する際、必ず実行しておきたい分析です。
繰り返しになりますが、BCPを策定する場合、「いつ、誰が何をどの程度、どのようにして業務を行うのか」を具体的にまとめましょう。業務を分担する場合、予め役割分担して担当者を決めておくことがポイントです。
自然災害などでライフラインが一時的に絶たれた場合を想定して、緊急時の水や食料の備蓄、防災グッズなどを準備することも検討しましょう。
さらに、この機会にマニュアルやフローチャートなどを作成するとよいでしょう。
碧(あおい)M企画では、厚生労働省のガイドラインに沿ったBCP策定をご支援いたします。
ご遠慮なく連絡下さい。