2022年ブライト500を含む健康経営優良法人認定を目指す中小企業にとって、健康投資管理会計は重要な取り組みになります。
しかし、従業員の健診データやアブゼンティーズム、プレゼンティーズムなどの調査結果を分析して財務指標を見える化する必要が求められことから容易ではありません。
理由は、大企業と異なり産業医や保健師などの専門スタッフが常駐していないことや契約している社会保険労務士、税理士などが健康経営に必ずしも詳しくないからです。
2022年度健康経営優良法人を目指した対策のポイントは以下の項目を考えています。
・経営トップが先導して健康経営戦略を図式化している
こと。
・PDCAサイクルを回すための非財務指標(KPI・KGI
など)を明確に示すこと。
・従業員のパフォーマンスを示す指標についてモニタリング
していること。
・健康投資会計で健康投資の費用対効果を示すこと。
・健康経営の取り組みや成果に関する情報を自社HPや
広報誌などで発信すること。
では、中小企業でどのように健康経営を進め取り組むのか、そのポイントは以下の事項です。
・社内推進チームを強化すること。
・従業員へ良質な情報を提供しヘルスリテラシー向上に取り組むこと。
・健康経営に投資するコストを確保すること。(法定外福利費など)
・産業保健専門家の支援を得るための外部リソースを活用すること。
・他社と横連携でつながり有効な施策について情報や意見を交わすことのできる社外活動の場を構築すること。
特に外部リソースは重要です。最近では健康経営に特化した公的リソースも増えつつありますが、SNSやスマホアプリなどを活用してヘルスサービスを提供する次世代ヘルス産業を担う企業も増えてきました。
生産性向上の根拠となる非財務指標のモニタリングやメンタルヘルスカウンセリング、健診データを活用した健康リスクの把握など企業を支援する次世代ヘルス産業事業の展開は、政府の後押しもあり、ここ数年で加速しているように感じます。
具体的には、昨年協会けんぽ沖縄支部が実施した「健康経営推進プログラム」では、健康経営に積極的に取り組む企業の募集を募り、健康経営の実践計画、専門家派遣など無料で支援して健康機器の無償提供やセミナーが開催されました。
また、健康保険組合などが、定期健診後に提供している健康スコアリングは、施策が有効に実施されたか確認するためのデータとして参考になります。特にベンチマークとして有効な情報と言えるでしょう。
しかし、詳細なデータ分析の実施や、対策の実行にあたっては、必要に応じて外部専門家のアドバイスが必要になるかと思われます。例えば、健康スコアリングレポートでは把握できない企業単位のデータや部門単位・職種単位のデータ等の分析を専門家を活用して実施することで、より効果的な対策の検討につながることが期待されます。
中小企業においては、社内推進チームの活動には限界があるように思えます。
自社の健康経営施策と健康スコアリングとの連携は、施策を評価する上で非常に重要な取り組みです。しかし、データを分析して課題を抽出するためには、どうしても専門的なスキルが必要であることから外部リソースを上手く活用し非財務指標の見える化に取り組むことが、健康投資会計の実践においてポイントになるでしょう。
第2回 健康投資ワーキンググループ(2021年3月11日)の資料を確認したところ2022年の健康経営評価基準は、PDCAサイクルで評価・改善する取り組みが必須項目に加えられ健康投資会計の在り方が益々注目される時期に来ていると感じています。
出典:経済産業省 第2回 健康投資ワーキンググループ(2021年3月11日)より
経済産業省の「健康経営会計ガイドライン」や今回説明したことを参考に自社の取り組みに活かして下さい。