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医療情報のICT化とPHRの推進について

まずPHRを説明する前に、医療情報のICT化について理解する必要があります。

 

 

わたしたちが心身の不調で医療機関にかかった場合、その時の診療の記録や検査結果などは、診療を受けた医療機関だけにカルテ(診療記録)として保存・保管されます。処方されたお薬の情報や別の医療機関を利用した場合も、それぞれの場所に保存・保管されています。

ここ数年で個人の健康や医療、服薬に関わる、バラバラに保存・保管される情報を、1か所に集約しようとする取り組みが始まっています。

 

 

【医療分野のICT化】

 

日本では医療や健康の分野において、医療データの取り扱いについて積極的にICTを活用していこうと、大きく3つのことに取り組んでいることをご存じでしょうか?

1つめは、地域医療連携ネットワーク(EHR)の高度化、標準化を進め、低コスト化を図ること、相互接続を推進することです。EHRとはElectronic Health Recordの略で、地域の病院や診療所などをネットワークでつないで、患者情報等を共有し活用するシステムのことをいいます。

 

【全国各地で稼働している地域医療連携ネットワーク】

出典:総務省「医療・介護・健康×ICT」の推進についてクラウド型EHR高度化事業(H28補正) 交付先一覧

2つめは、医療データの利活用です。病院や薬局ごとに保存・保管している個人の医療データであるパーソナルヘルスレコード(PHRPersonal Health Record)を、自らが管理し、具体的なサービスモデルや情報連携技術モデルを構築していこうとしています。

 

いずれはAIを活用することも視野にいれられています。PHRの利活用が、散在している診療の記録などを1か所に集約しようという動きのことです。

3つめは、高精細映像技術(8K技術など)を用いた、8K内視鏡の開発や診断支援システムの構築や遠隔医療の実現を推進しています。診断支援にもAIの活用が考えられています。

このように、医療情報はICT化により私たちの医療個人情報としてPHRで一元管理され活用できる環境にあります。

 

もちろんこれらの医療情報は、個人情報で保護され活用するためには私たちの同意がないと利活用することはできません。

PHRとは、Personal Health Recordの頭文字をとった略語で、個人の健康・医療・介護に関する情報のことをさしています。個人の健康・医療・介護に関する情報を一人ひとりが自分自身で生涯にわたって時系列的に管理・活用することによって、自己の健康状態に合った優良なサービスの提供を受けることができることを目指しています。

 

では、PHRについて身近で具体的な活用方法を紹介しましょう。

 

 

【お薬手帳アプリについて】

みなさんが持っているお薬手帳は、アプリで活用することができます。

お薬手帳アプリ「harmo(ハルモ)」をご存じでしょうか?

 

 

harmoPHRシステムを活用した無料アプリです。

各医療機関や薬局で処方された薬剤情報を一括管理するアプリで、処方された複数の薬剤情報がスマホを通じて薬局や医療機関へ提示することができます。

メリット

・お薬の履歴が残り、家族の健康管理に役立ちます。

・複数の医療機関にかかっている場合など、飲み合わせのリスクやお薬が重複して処方されるリスクを減らせます。

・持病がある場合いつも飲んでいるお薬がすぐに分かり記録をきちんと持ち歩いておけば、緊急時にも安心です。

・災害時など医療ボランティアへ服用中のお薬、かかりつけの病院や薬局の情報を提示で

きます。

・急に具合が悪くなって救急外来に行った場合など、普段飲んでいるお薬があるかを

 

尋ねられた時に提示できます。

 

【検査データ管理アプリ】

みなさんの健診データをアプリ(無料)で一括管理できます。

MeDaCaは、自分の様々な医療情報を写真で管理できるアプリです。診察券や検査データ、薬の説明書、健康診断書など、身の回りにあるたくさんの医療情報を、なんでも写真に撮って自分のスマートフォンに収納します。また、収納された医療情報は、日付・カテゴリー別に表示・閲覧することができます。

 

医療機関用のWebサービス「MeDaKa PRO」と連携することで、様々な情報を共有することができます。

主な機能


出典:メディカルデータカード株式会社 PHRアプリ「MeDaCa」をいた患者と医療機関との架け橋より

 

【診断画像データについて】

 

かかりつけのクリニックから精密検査のため総合病院へ紹介された場合、CTMRI、内視鏡検査を行うケースがあると思います。以前は画像をDVDCDにコピーしてクリニックへ持参していましたが、HERPHRを活用することで診断画像データを複数の医療機関で共有することができるので、別途コピー料金が発生することはありません。セカンドオピニオンや診療科目の異なる複数の医療機関を受診した場合、これまでの診断画像データを容易に閲覧することができます。

 

【自分の健康管理について】

 

最近では脈拍や血圧、体温、呼吸回数、体重、など一括管理できるシステムも今後活用できるようになります。

総務省は、平成28年度より3年間、妊娠・出産・子育て支援、疾病・介護予防、生活習慣病重症化予防、医療・介護連携といった4つのライフステージに応じたPHRサービスモデルの開発と、本人に関する多種多様な情報の統合的な利活用を可能とする基盤的技術の確立を目的とした「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)利活用研究事業」を国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による研究事業として実施しています。

 

出典:総務省パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の利活用推進より

例えば高血圧の持病がある方は、毎日計測して記録していると思います。これからはアプリを利用してシステムで管理できるようになり医療機関へ、そのデータを提供することができます。

 

また、オンライン診療にも活かされ、ムダな交通費や医療機関での待ち時間などの負担がなくなります。とくに郊外で暮らす高齢者には便利なシステムです。

このように私たちの医療情報は、個人の同意があればPHRを利活用して医療費を削減できます。

 

PHRを利活用するためのポイント】

PHRHERを利用できるホームドクターを決める。

PHRアプリをスマホにDLする。

・定期健診(特定健診)を受診する。

・普段から自分の健康に関心を持つ。

・地域のHERに申し込み登録する。(HER登録医療機関で登録できます)

 

 

ムダな医療費を削減して健康管理をしっかり行いエンジョイしましょう。