ここで説明する2022年の評価基準は、3月11日に公表された、「健康・医療新産業協議会第2回健康投資WG」資料を参考に想定される評価基準の傾向と対策をまとめました。
では、2021年と2022年(案)の健康経営優良法人認定の認定要件を比べてみましょう。
健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件(案)
出典:経済産業省「健康・医療新産業協議会第2回健康投資WG」資料より
【変更点の説明】
評価基準の変更点は以下の通りです。
①健康経営優良法人の認定基準となる評価項目の数が異なります。
・2021年は評価項目①~⑮の中から6項目。
・2022年は一項目増えて7項目。
・ブライト500を申請する場合は13項目。
②評価項目⑮が変更になっています。
・2021年では、⑮健康経営の評価・改善に関する取り組み。
・2022年では、健康経営の評価・改善に関する取り組みが必須項目となり、⑮従業員の喫煙低下に向けた取り組みへ変更されています。
【ポイント】
基本的には、健診結果を評価・分析して自社が優先すべき項目を選ぶことが大切です。
ここでは、あくまでも参考程度に優先すべき項目を示しています。
健康経営優良法人認定を申請する場合、優先すべき項目は次の項目と考えています。
① ② ⑥ ⑧ ⑫ ⑬ ⑮の7項目
できれば⑧と⑭を加えた9項目が望ましいと考えています。
※ここでは2022年の認定要件(案)を参考にしています。
【優先項目の根拠と解説】
①定期健診受診率(実質100%)
健康経営優良法人を申請するのであれば、受診率100%達成していることが大前提と言えます。厳密には受診率95%以上が適合とされていますが、法令では定期健診の実施は経営者、受診は従業員に義務があります。また、自社の健康リスクを調査・分析する場合の基本データとして把握する必要があります。
②受診勧奨の取り組み
従業員が受診できない主な理由は、時間、仕事の都合、健診を軽視する誤った思考です。
受診勧奨のみではなく、定期健診の意義や法令上の義務について従業員へ周知して受診率100%を目指した全体的な取り組みは重要です。
⑥コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み
コミュニケーションの促進は、職場のより良い人間関係の構築に効果的な取り組みであり、メンタルヘルスの予防や生産性、ワークエンゲイジメントに好影響を与える事が期待されるため重要です。
⑧保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
保健指導は、従業員の生活習慣病の重症化予防や生活習慣の改善等を促す上で有効かつ効果的な取り組みです。また、ハイリスクアプローチとしても効果が期待できます。
⑫従業員の感染予防に向けた取り組み
新しい生活様式や3密を避けた予防策、テレワークの導入など新型コロナウイルス感染対策の感染予防はもとより、他の感染症も含めた幅広い感染症予防や感染拡大防止に向けた取り組みや制度を実施していることが評価されます。
⑬長時間労働者への対応に関する取り組み
経営者及び担当者が、従業員の超過勤務状況を把握し長時間労働者に対する具体的な対策を事前に定めていることは、リスクマネジメントやメンタルヘルス対策に有効な取り組みとして評価されるでしょう。
⑮従業員の喫煙率低下に向けた取り組み
この項目は、現時点で2022年の評価基準に新たに加えられる予定の項目です。
喫煙対策は、評価項目の必須項目で、2020年から受動喫煙法により望まない受動喫煙をなくすことが目的です。多くの人々へ配慮した職場環境が問われることから職場での禁煙率活動は益々注目される取り組みと言えるでしょう。
さらにブライト500を含む健康経営優良法人認定を申請する場合は全ての項目を適合することが望ましいと言えます。
3月22日に経済産業省から公表された「認定法人適合状況」を確認したところ殆どの法人が評価項目全て適合評価されていました。
加えてストレスチェックは、法令上50人以上の事業所に義務付けされていますが、健康経営優良法人認定では法を上回る取り組みが評価されます。この機会にストレスチェックの実施もご検討下さい。
2022年ブライト500を含む健康経営優良法人認定を目指したポイントをまとめました。
参考になれば幸いです。