前回に引き続きシリーズで、私がコンサルしている介護事業所や障害者事業所へアドバイスしている内容をまとめ、ブログで掲載しています。
今回は、第2回で「PDCAサイクルを回すための具体的な指標」です。
事業を経営する上で、財務指標をチェックすることも重要ですが、それ以外のストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標も大切です。
特に介護事業所では年々高騰する人件費は、経営に大きな負荷を与えています。
一般的に、収入に対する人件費比率は、特養や老健、グループホームといった施設事業では60%、通所事業では70%、訪問事業では80%以上となっています。
当然ですが支出を抑え収入を増やすためには、効率的な業務を行う必要があり様々な施策を考え業務改善を繰り返し実行することは有効な手段であり、それを指標化したのがプロセス指標です。
アクションを起こした結果で得られるプロセス指標は、様々な施策が有効に機能しているか判断する指標です。
成果を得るためには、事業所内で業務改善やリスクマネジメント、感染対策といった組織的な取り組みが重要です。
経営者や管理者が決定した戦略を末端の従業員にまで伝えるためには、様々な委員会(業務改善・リスクマネジメント・感染対策など)が機能しなくては、成果につなげることは困難でしょう。
このような組織的な活動が機能しているか判断する指標がストラクチャーです。
アウトカムを説明する前に、アウトカムとアウトプットの違いについて理解しましょう。
アウトカムは、成果や効果を示し、事業所の利益、利用者数、従業員の定着率など事業所の経営に大きな影響を与える指標です。
アウトプットは、出力結果を示し、利用者満足度、従業員満足度、欠勤・退職者数など、主に事業所の生産性に大きな影響を与える指標です。
ですから様々の施策が機能しているのか判断するのであれば、この指標がプロセス指標となります。
つまり、アウトプットが改善されることアウトカムの目標も達成される因果律を理解しましょう。
具体的な指標としては次の通りです。
【ストラクチャー指標】
運営会議、業務改善委員会会議、危機管理会議、感染対策会議などの開催数や欠員数、各種加算の取得率。
【プロセス指標】
インシデント・アクシデント数、利用者満足度、従業員満足度、欠勤数、退職者数。
【アウトカム指標】
経常利益、利用者のADL維持・改善、利用者の在宅復帰率、従業員の定着率、従業員の離職率。
3つの指標をPDCAサイクルで回すイメージは次の通りです。
介護事業所の経営者や管理者であれば、すでにご存じかと思いますが介護報酬改定も、この3つの指標を評価して基本報酬や加算に反映される仕組みになっています。
2021年度介護報酬改定の5つの柱
1. 感染症や災害への対応力強化
2. 地域包括ケアシステムの推進
3. 自立支援・重度化防止の取り組みの推進
4. 介護人材の確保・介護現場の革新
5. 制度の安定性・持続可能性の確保
最後まで読んで頂き有難うございます。
感謝します。
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